永久歯が乳歯の後ろから生えてきた!抜くべき?様子見?

仕上げ磨きの途中、下の前歯の裏に白い歯が見えてドキッとした。
そんなお母さん・お父さんは多いと思います。
元歯科衛生士で2児の母、ゆきです。
先にお伝えすると、これは生え変わり期にとてもよくあることで、慌てて家で抜く必要はありません。
ただ、様子見でいいかは乳歯の揺れ方や場所で変わります。
この記事では、その見分け方と歯医者さんに行くタイミングをお話しします。

乳歯の後ろから永久歯が生えるのはよくあること

いちばん多いのは6歳前後の下の前歯

乳歯の後ろから永久歯が生えてくる状態は、前歯が2列に並んで見えることから「二重歯列」や「二枚歯」と呼ばれることもあります。
衛生士として働いていたころ、6〜7歳の子の親御さんから受ける相談のなかでも、特に多い内容のひとつでした。

よく起きるのは、下の真ん中の前歯です。
日本小児歯科学会が2015〜2016年に約3万人を調べた萌出時期の調査研究では、下の真ん中の前歯が生えてくる時期は、平均的な範囲でおおよそ5歳半〜7歳ごろとされています。
下あごでは6歳臼歯より前歯が先に生えてくる子のほうが多く、「はじめての永久歯が後ろから出てきた」という形で気づくケースもよくあります。

わが家の上の子もそうでした。
年長の冬、仕上げ磨きで歯ブラシを裏側に当てたら、乳歯の奥に白いギザギザの歯が半分ほど顔を出していたんです。
毎晩磨いていたのに、そこまで伸びるまで気づかなかったのは、衛生士としてちょっと恥ずかしかったですね。

なぜ後ろから生えてくるの?

永久歯のもとになる「歯の芽」は、あごの骨の中で乳歯の根の近くに準備されています。
下の前歯の場合は、乳歯の根の少し内側(舌側)にあることが多いんです。

本来は、永久歯が上に向かって育つにつれて乳歯の根が溶けていき、乳歯がグラグラして抜けます。
歯科材料メーカーのジーシーが公開している生え代わりの解説によると、永久歯が生えてくる道すじが偏っていると、乳歯の根が十分に溶けずに乳歯が残ってしまうことがあるそうです。
そのため、乳歯が抜ける前に、永久歯が内側から先に出てきてしまうというわけです。

親の磨き方や食べ方のせいで起きるものではないので、自分を責めなくて大丈夫ですよ。

抜く?様子見?見分けるポイント

まずは乳歯のグラグラを確かめる

最初に見てほしいのは、残っている乳歯がどれくらい揺れているかです。
清潔な指で乳歯を軽く前後に触ってみてください。

乳歯が大きくグラグラしているなら、根はかなり溶けていて、自然に抜ける可能性があります。
ライオン歯科衛生研究所の生えかわりの解説(小児歯科医監修)でも、グラグラしているだけなら自然に抜けるのを待っていてよいとされています。

反対に、永久歯がしっかり見えているのに乳歯がほとんど揺れていない場合は、根が溶けずに残っている可能性があります。
こうなると自然に抜けるまで時間がかかりやすく、そのあいだに永久歯が内側に寄ったまま伸びていきます。

お子さんの状態考え方の目安
乳歯がよく揺れている/痛みや腫れはない自然に抜けることも多い。念のため一度歯医者さんに見てもらうと安心
乳歯がほとんど揺れていない根が残っている可能性。早めに受診
上の前歯で起きている噛み合わせに影響しやすい。早めに受診
歯ぐきが腫れている、痛がる早めに受診
反対側の永久歯が生えて半年ほどたっても乳歯が残っているレントゲンで原因を調べてもらう

上の前歯で起きたら早めに相談を

下の前歯より気をつけたいのが、上の前歯です。
上の永久歯が内側から生えたまま伸びると、下の前歯よりも内側で噛み込んでしまい、その歯だけ受け口のような噛み合わせになることがあります。

こうした噛み合わせは、歯が生えそろう前に見つけておくほうが対応の選択肢が広がります。
受け口の治療については、受け口の治し方を子どもと大人に分けて解説した歯科医院の記事が分かりやすかったので、気になる方は読んでみてください。

腫れ・痛み・左右差があるとき

乳歯と永久歯が重なっている部分には、食べかすや細菌がたまりやすくなります。
先ほどのライオン歯科衛生研究所の解説では、すき間に細菌が入って歯ぐきが腫れているような場合は、速やかに乳歯を抜く必要があるとされています。

左右差もひとつの目安になります。
ジーシーの解説によると、片方の永久歯が生えて半年ほどたっても反対側の乳歯が残っているときは、レントゲンで原因を調べてもらう必要があるそうです。

歯医者さんではどんなことをするの?

レントゲンで根の状態を確認

受診すると、まずお口の中を見て、必要に応じてレントゲンを撮ります。
乳歯の根がどれくらい残っているか、永久歯がどの向きで出てきているかは、外から見ただけでは分からないからです。

その結果、自然に抜けそうなら経過観察、根が残っていそうなら乳歯を抜く、という判断になるのが一般的です。
日本小児歯科学会の「こどもたちの口と歯の質問箱」でも、永久歯が生えたのに乳歯が抜けないときは、早めに抜くことで歯並びの乱れを防げる場合があるとして、早めの受診をすすめています。

乳歯を抜いたあとは舌の力で前へ

「内側にずれて生えた永久歯は、ずっとそのままなの?」と心配になりますよね。
下の前歯の場合、乳歯を抜いてスペースができると、舌が内側から押す力で永久歯が少しずつ前へ移動していくことが多いです。
ジーシーの解説でも、抜いたあとのすき間が永久歯の幅と同じくらいあれば、舌の動きで自然に前に出てくると説明されています。

わが家の上の子も、乳歯を抜いてもらってからひと月ほどで、内側にあった永久歯がだいぶ前に出てきました。
抜いた日の夜は「歯の穴が気になる」とずっと舌で触っていましたが、その舌の力も役に立っていたのかもしれません。

歯並びの判断は4本そろってから

生えたばかりの前歯が少し重なっていたり、ガタガタして見えたりしても、すぐに矯正が必要というわけではありません。
ジーシーの解説では、下の前歯のでこぼこや重なりは、4本が生えそろうのを待ってから処置が必要かどうかを検討するとされています。

同じ解説には、隣の乳歯まで一緒に抜くことはしないとも書かれています。
隣の乳歯の下にも次の永久歯が控えていて、そのスペースを先に使ってしまうと問題の先送りになるからだそうです。
「ついでに隣も抜いてほしい」とお願いしたくなる気持ちは分かりますが、ここは歯医者さんの判断に任せるのが安心です。

家でできること、やらないほうがいいこと

親が無理に抜くのはおすすめしない

ネットでは「糸で抜いた」という体験談も見かけますが、揺れの少ない乳歯を家で抜こうとするのはおすすめしません。
根が残っている乳歯は抜くときに痛みが出やすく、途中で折れてしまうこともあります。

もうひとつ心配なのが、痛い思いをしたことで子どもが口を触られるのを嫌がるようになることです。
仕上げ磨きや歯医者さんを嫌がるようになると、そのあと何年も続くケアがつらくなってしまいます。
子どもが自分で舌や指で揺らすくらいなら見守って、大人が力を入れて抜くのはやめておきましょう。

重なった部分は歯みがきの死角になる

乳歯と永久歯が前後に並んでいる部分は段差ができていて、普通の歯ブラシでは毛先が届きにくくなります。
わが家では、先の小さいワンタフトブラシ(毛束がひとつの小さなブラシ)を使って、永久歯の裏側と、乳歯とのすき間を1本ずつなぞるようにしていました。

生えたばかりの永久歯はまだ表面がやわらかく、ライオン歯科衛生研究所の解説でも、生えてから2〜3年はむし歯になりやすい時期とされています。
重なりが解消するまでは、仕上げ磨きでこの部分だけ少し丁寧に、を意識してみてください。
毎日完璧じゃなくて大丈夫なので、寝る前の1回だけでも続けられると十分です。

歯医者さんに行くタイミングと伝え方

予約のときに伝えると話が早いこと

受診するなら、予約のときに次のことを伝えておくと、歯医者さんのほうも準備がしやすくなります。

  • どの歯か(下の前歯、上の前歯など)
  • いつごろ気づいたか
  • 乳歯が揺れているか、ほとんど揺れていないか
  • 痛みや歯ぐきの腫れがあるか

電話なら「6歳の子で、下の前歯の裏から大人の歯が出てきました。乳歯はあまり揺れていません。一度見てもらえますか」くらいで十分伝わります。
スマホで歯の写真を撮っておくと、受診までのあいだに伸び方の変化を比べられるので便利ですよ。

平日に連れて行けない家庭は

共働きだと、平日に学校のあと連れて行くのが難しいこともありますよね。
乳歯を抜くかどうかの相談は短時間で済むことも多いので、週末に診てもらえる小児歯科を探しておくと気持ちが楽になります。

たとえば堺市東区のひきしょう歯科クリニックの小児歯科は、2026年9月時点で土曜・日曜も診療枠があります(日曜は時間が限られます)。
お住まいの近くでも、診療時間の表に土日の欄があるかを一度確かめておくと、いざというとき慌てずに済みます。

まとめ

乳歯の後ろから永久歯が生えてくるのは、生え変わり期によくあることです。
抜くか様子見かは、次のポイントで考えてみてください。

  • 乳歯がよく揺れていて、痛みや腫れがなければ自然に抜けることも多い
  • 乳歯がほとんど揺れていない、上の前歯で起きている、歯ぐきが腫れているときは早めに受診
  • 家で無理に抜かず、重なった部分は仕上げ磨きで丁寧に

私自身、衛生士だったのに上の子のときは気づくのが遅れました。
それでも早めに見てもらったことで、結果的に落ち着いて乗り切れたと思っています。
迷ったら歯医者さんに聞くのが一番早いです。
子どもの歯を見慣れている歯医者さんに、気軽に相談してみてくださいね。