小児矯正は何歳から?1期治療・2期治療の違いをわかりやすく

前歯が生え変わり始めたら、なんだかガタガタ。
「矯正っていつから?」「早く始めないと手遅れ?」と、急に気になり始めますよね。
元歯科衛生士で2児の母のゆきです。
先に結論をお伝えすると、相談の目安は前歯が生え変わる7歳ごろで、受け口などはもっと早めが安心です。
この記事では、始めどきの考え方と、1期治療・2期治療の違い、費用や保険の目安を家庭目線でまとめます。

小児矯正は何歳から?「相談」と「開始」は分けて考える

相談の目安は7歳ごろ

「何歳から始めるか」を考える前に、まず「いつ相談に行くか」と「いつ治療を始めるか」を分けておくと、ぐっと気がラクになります。
相談したからといって、すぐに装置をつけるわけではないからです。

矯正歯科の開業医でつくる日本臨床矯正歯科医会は、相談の目安を7歳ごろとしています。
同会の「最初に矯正歯科に相談するのは、何歳くらいがよいのですか?」によると、実際に治療を始めた年齢でいちばん多いのは7〜8歳だそうです。
上下の前歯が生え変わって将来の歯並びがある程度見通せるうえ、子ども自身にも「治療している」という自覚が出てくる時期なんです。

同じページには、初診相談は予約制で、料金の目安は3,000〜5,000円程度とあります。
相談した医院で治療を受けなければいけない、ということもありません。

受け口などは、もっと早く相談したい

一方で、7歳まで待たないほうがいいケースもあります。
先ほどの日本臨床矯正歯科医会の解説では、あごの骨格に問題がある受け口や、奥歯でかんでも前歯が閉じない開咬(かいこう)、上下の歯のかみ合わせが横にずれる交叉咬合(こうさこうごう)は、早めの治療がよい場合もあるとされています。

受け口は3歳児健診で指摘されることもあります。
日本小児歯科学会の「子どもたちの歯並び・かみ合わせの治療に関するQ&A」でも、乳歯の受け口は、あごのバランスに問題がなければ簡単な装置で比較的早くかみ合わせを改善できることがある、と紹介されています。
健診で指摘された場合や、ご両親のどちらかが骨格的な受け口の場合は、年齢を待たずに一度見てもらうと安心です。

年齢の目安見ておきたいこと
1歳半〜3歳健診で受け口やかみ合わせのずれを指摘されていないか
3〜6歳乳歯の受け口、指しゃぶりや口呼吸などのくせが続いていないか
6〜8歳前歯が生え変わるスペースが足りているか、6歳臼歯が正常に生えているか
9〜12歳永久歯への生え変わりが順調か、2期治療が必要になりそうか

「様子を見ましょう」と言われたら

歯医者さんで「生え変わりまで様子を見ましょう」と言われて、モヤモヤしたことはありませんか。
わが家の上の子も、前から2番目の歯が内側から生えてきた7歳のとき、同じことを言われました。

日本小児歯科学会のQ&Aによると、乳歯のでこぼこは永久歯に生え変わる過程でよくなる場合もあるので、様子を見る判断は間違いではないそうです。
ただ、症例によっては早く始めたほうがよい場合もあるため、心配なら別の矯正歯科や小児歯科で相談してもいい、とも書かれています。
わが家は半年ごとの検診で写真を撮ってもらい、生え方の変化を一緒に確認しながら経過を見ています。
「様子見」は放っておくことではなく、定期的に見てもらいながら待つこと、と考えると気持ちが落ち着きました。

1期治療と2期治療の違い

1期治療は、あごの成長を使った土台づくり

1期治療は、乳歯と永久歯が混ざっている時期(混合歯列期)におこなう治療です。
年齢でいうと、だいたい小学校低学年から中学年ごろにあたります。

目的は、歯そのものを細かく並べることより、あごの成長の方向や幅を整えて、永久歯が並ぶための土台をつくることにあります。
家づくりでいえば、家具を置く前に部屋の広さを整えるイメージです。
取り外しできる装置や、寝ている間に使うマウスピース型の装置などが使われることが多く、指しゃぶりや口呼吸のようなくせを直す練習を組み合わせることもあります。

2期治療は、永久歯を1本ずつ並べる仕上げ

2期治療は、永久歯がほぼ生えそろってから始める治療です。
歯の1本1本に小さな装置(ブラケット)をつけてワイヤーでつなぐマルチブラケット装置を使い、歯の位置やかみ合わせを細かく整えていきます。
大人の矯正と聞いてイメージするのは、こちらのほうかもしれません。

日本矯正歯科学会の「矯正歯科治療について」によると、一般的な不正咬合では装置をつけておく期間が2〜3年ほどかかり、簡単なケースなら半年ほどで済むこともあるそうです。
装置を外したあとも、歯が元の位置に戻らないよう保定装置(リテーナー)を使う期間があります。

違いを表で比べると

1期治療2期治療
時期乳歯と永久歯が混ざっている時期永久歯がほぼ生えそろってから
年齢の目安小学校低学年〜中学年ごろ小学校高学年〜中学生ごろ
主な目的あごの成長を整え、歯が並ぶ土台をつくる永久歯を1本ずつ正しい位置に並べる
主な装置取り外し式の装置、マウスピース型の装置などマルチブラケット装置(ワイヤー)など
費用の目安15万〜60万円程度50万〜130万円程度

費用は日本小児歯科学会のQ&Aに載っている混合歯列期・永久歯列期の料金の目安で、医院によってかなり幅があります。
また、同じQ&Aには「1期」「2期」という呼び方をする医院もある、と書かれています。
医院によって「早期治療」「本格治療」と呼ぶこともあるので、名前が違っても慌てなくて大丈夫です。

1期治療をすれば2期治療はいらない?

1期で終わるかどうかは、始める時点では決まらない

親としていちばん気になるのが、ここですよね。
1期治療だけで満足できる歯並びになる子もいれば、永久歯が生えそろってから2期治療に進む子もいます。

日本臨床矯正歯科医会の解説では、前歯が1本だけ逆にかんでいるような比較的簡単な治療でも、その後の生え変わりが順調かどうかを定期的に見る必要があり、不具合が出ればさらに治療をすることになる、と説明されています。
永久歯の生え方は、1期治療を始める時点では誰にも正確に予測できません。
衛生士時代も、「1期だけで終わりますか?」と聞かれた先生が、「今の時点では約束できません」と正直に答えている場面を何度も見てきました。
最初の相談では、2期治療に進む可能性と、そのときの費用がどうなるかまで聞いておくと、あとで慌てずに済みます。

早く始める良さと、知っておきたい負担

早く始める良さは、あごの成長を利用できることです。
日本小児歯科学会のQ&Aでは、次のような点が挙げられています。

  • あごの骨のバランスを整えやすい
  • 指しゃぶりや口呼吸など、口のくせを改善しやすい
  • 生まれつき足りない歯や、埋まったままの歯を早く見つけられる
  • 症例によっては、歯が並ぶスペースを確保して歯を抜かずに済む場合がある

一方で、負担もあります。
あごの成長を待ちながら進めるので、2期治療まで含めると通院が数年単位になることがあります。
取り外し式の装置は、つけている時間が短いと思うように進みません。
日本臨床矯正歯科医会も、子どもの矯正は本人より親の意向で始めることが多く、家族のサポートでやる気を続けさせてあげることが大切だと書いています。
わが家でも、装置をつけ忘れた夜は責めずに「明日はつけようね」で流すくらいがちょうどいい、と感じています。

費用の目安と、保険・医療費控除

費用の目安と料金の仕組み

矯正の費用は自由診療なので、医院ごとに違います。
先ほどの表のとおり、1期治療で15万〜60万円程度、2期治療で50万〜130万円程度が目安です。
日本小児歯科学会のQ&Aによると、乳歯のころから治療を始めて永久歯まで続ける場合は、料金を調整している医院が大多数だそうです。
どう調整されるかは医院ごとに違うので、契約前に確認しておきましょう。

料金の決め方には、最初に総額を決める方式と、通院のたびに調整料がかかる方式があります。
通院のたびに調整料がかかる場合は、通う期間が長いほど合計が増えていきます。
「総額でいくらになりそうか」は、契約前にいちばん確認しておきたい点です。

保険が使えるのは限られたケース

子どもの矯正でも、基本的に健康保険は使えません。
日本矯正歯科学会によると、保険が適用されるのは、あごの手術を前提とした治療をする場合や、国が指定した疾患がある場合、前歯が3本以上生えてこないためにかみ合わせに問題がある場合に限られます。
該当するかどうかは、相談の際に歯科医師に確かめてください。

医療費控除の対象になることも

保険が使えなくても、医療費控除の対象にはなる場合があります。
国税庁の「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(令和8年4月1日現在)では、発育段階にある子どもの成長を妨げないための不正咬合の歯列矯正は、医療費控除の対象になるとされています。
見た目を整えるだけが目的の場合は対象外なので、領収書は捨てずにとっておき、確定申告の前に確認しておくと安心です。

相談に行く前に家でできること

親が見ておきたいチェックポイント

仕上げ磨きのついでに、口の中をのぞく習慣をつけておくと変化に気づきやすくなります。
日本臨床矯正歯科医会が小学生向けに挙げているポイントをもとに、家で見やすいものを選びました。

  • 前歯のかみ合わせが上下で逆(受け口)になっていないか
  • 乳歯の前歯がいつまでも抜けずに残っていないか
  • 前から2番目の永久歯が、列からはみ出すように生えていないか
  • 奥歯をかんだとき、上下の前歯の間に大きなすき間がないか
  • 指しゃぶりや、舌を前に突き出すくせが続いていないか

乳歯のころのすきっ歯は、あとから大きな永久歯が生えるためのスペースなので、あまり心配しなくて大丈夫です。
むしろ乳歯がすき間なくぴったり並んでいる場合のほうが、永久歯の並ぶ場所が足りなくなりやすいといわれます。

相談で聞いておきたいこと

初めての相談は、聞きたいことをメモして持っていくと落ち着いて話せます。
わが家で実際に聞いたのは、このあたりです。

  • 今すぐ治療が必要か、様子を見てよいか
  • 1期治療をする場合、期間と費用の総額はどれくらいか
  • 2期治療に進む可能性と、そのときの費用の扱い
  • 装置は取り外し式か、1日何時間つける必要があるか
  • 通院の頻度と、調整料がかかるかどうか

日本小児歯科学会は、検査前でも大まかな説明をしてくれること、治療を無理にすすめないことを、医院選びのポイントに挙げています。
共働きで平日の通院が難しいご家庭は、土日に診てもらえるかも大事な条件ですよね。
土日も診療している小児歯科の一例として、堺市のひきしょう歯科クリニックの小児矯正のページでは、1期治療で使う装置の種類が紹介されています。

まとめ

小児矯正は「何歳から始めるか」より、「いつ相談するか」を先に考えるのがおすすめです。
相談の目安は前歯が生え変わる7歳ごろで、受け口やかみ合わせの横ずれがある場合は、もっと早く見てもらうと安心です。

1期治療はあごの成長を使った土台づくり、2期治療は永久歯を並べる仕上げです。
1期で終わるかどうかは始める時点では決まらないので、2期の可能性と費用の総額まで聞いてから決めてください。

完璧なタイミングを探しすぎなくて大丈夫です。
迷ったら、子どもの歯を見慣れている歯医者さんに一度相談してみてください。